考えるバスケットの会 中川 直之 氏の「トリックパッサー養成講座」
かつて山口県の豊浦高校にて双子の弟・中川和之選手(現つくばロボッツ)とともに名ガードとして活躍された中川直之氏。現役を引退し、山口県初の「関門バスケットボールアカデミー(Nao塾)」を立ち上げ、「考えるバスケットの会」も設立。コーチングをベースにした大人向けのセミナー「コーチングファーム素直塾」も主宰するなど、精力的に活動を展開されている。
そんな中川氏がこのジュニアバスケットボールサミットでテーマにした「トリックパッサーの養成講座」とはどんなクリニックだったのだろうか。
――指導のねらい、目的をお聞かせください。
「自分自身がポイントガードでプレーしていたということもあり、周りの選手、チームメイトに指示するという世界を知ってほしいと思いました。また、連係プレーの楽しさ、やり方を伝えるのもねらいのひとつでした。そのためにはコミュニケーションが大切であり、目で見極める力、一秒かけないでパスする力を身に付けてもらいたかったです。」
――クリニック担当しての感想をお聞かせください。
「クリニックを行う際に緊張しましたが、子どもたちが一生懸命にプレーしていたので頑張ろうと思えました。自分の指導について、見学していたほかのコーチの方々にも説明したり、伝えていきたかったです。」
――ジュニアバスケットボールサミットについてはどういった感想をお持ちですか。
「いろいろな人の指導を見ることができて楽しかったです!」
――最後に指導理念をお聞かせください。
「できるかできないかではなく、子どもたちにチャレンジさせることを大事にしています。また、発想に刺激を与えてあげることです。」
今回のクリニックでは、バスケットボールをする中でのコミュニケーションの大切さ、パスの重要性について強調していて、学びの多い機会になりました。 また、中川さんの力強いドリブルやDFの意表を突いたパスなど、自分自身がプレーをしながら指導をしている点が魅力的でした。トリックパスには、選手たちだけではなく周りで見学されていた指導者の方々も驚いていました。レベルの高いデモンストレーションをすることが、周囲の注意を引きつけるために重要だということを直に感じることができました。
練習内容
1)ウォーミングアップ
2)ピボット
→ピボットを使うことでパスの幅を広げることができる。
3)二人組コミュニケーションドリル
→ハーフコート片サイドを使う。
一人が声を出し続けてもう一人の人に思いを伝え、二人でシュートまで持っていく。
「スクリーン、コーナー行け、ハイポスト来て、右ドライブ行け、シュート」など
コミュニケーションツールを使い攻撃をクリエイトする。
4)六人組パス回し
→2ガードポジション、両45度ポジション、両ローポストの計六ヵ所を六人でパス回し。右サイド、左サイドそれぞれでパス回し。人とボールが止まることなく動き続け、人はサイドチェンジをしてもよい。お互いにコミュニケーションで思いを伝える。その際、表情、ジェスチャー、声などより多くを使えるとよい。
5)30秒間対面パス
→30秒間で全力を出し切る。終わった時には疲れ果てているように。
顔をあげて、常にアイコンタクトをとる。
6)二人組ドリブルパス
→Aはディフェンスを想定して、その場で強いドリブル。BはAの周りを360度にわたり動き続ける。Bがハンズアップしたら0.3秒以内にパス。
ハンズアップしてからパスが遅いとノーマークがノーマークではなくなる。
ドリブルをしながらも仲間の動きを感じ取れるようにする。
7)4対3
→ディフェンスをだましながらゴール下で1on0の状況を作り出す。
そのために、チェストパスだけではなく、オーバーヘッドパスやビハインドパス、フックパスなども積極的に使う。それに加えて、シュートフェイク、パスフェイクやアイフェイクを使いながらオフェンスを行う。