DREAM 7 JAPAN ジェイソン・バスケット氏、西田辰巳氏による「Art Scoring」クリニック
アメリカのシアトルに「Emerald City Basketball Academy(通称ECBA)」というアカデミーがあるのを皆さんご存知だろうか?NBAで活躍するアイザイア・トーマス選手を初め、多くのNBA選手をECBAから輩出しているアカデミーだ。その代表コーチがジェイソン・バスケット氏。今回、2年ぶりに来日し、このJUNIOR BASKETBALL SUMMITにも登壇して頂くことができた。
通訳はDREAM 7 JAPAN、ニッポントルネードを立ち上げられ、日本バスケを世界水準に近づけるためにチャレンジを続けられている西田辰巳氏。シアトルにてジェイソン氏と出会い、その指導理念と哲学に共感した西田氏はアメリカ式でも日本式でもない、ジェイソン式バスケットをベースに、スポーツの枠を超えて教育や平和といった理念を胸に全国を飛び回っている。このゴールデンコンビによる特別なクリニックの内容を皆さんにもご報告したい。
■ジェイソンバスケット氏へのインタビュー
――指導のねらい、目的をお聞かせください。
「Art Scorring」すなわち、得点を創造することです。
――「Art Scoring」の「Art」とはどういう意味でしょうか。
「芸術」ではなく、クリエイティブ「創造」を意味しています。ディフェンスが状況を創るのではなく、オフェンスが状況を創り出すという意味です。
――メニューの選択や構成についてはいかがですか。
「1on1」で、特にジャブステップ・スナッチバックを取り上げました。スナッチバック、すなわちいかにディフェンスの足を下げさせるか(オフバランスにさせるか)を考えたメニュー構成にしました。
また、全体を通して
・アイズリング・・・常にリングをみること
・全力でやること
・ゲームライクにやること
の3つを強調して練習していきました。
――最後に指導理念をお聞かせください。
スポーツは人とやっている、つまりオープンスキルだということです。コーンやチェアーを使用しない練習、人が作る状況に対していかに正しく選択し、技術を実行できるかということを大事にしています。
■西田氏へのインタビュー
――今回のクリニックではフィジカルで抜くよりもオフバランスにして抜くことを強調されていましたが、その理由は何なのでしょうか。
「人間は地に足がついています。そこさえ崩せば簡単に抜くことができるのです。さらに、育成年代の過度なフィジカルトレーニングによる怪我のリスク軽減にもつながるためです。」
――クリニックを担当しての感想をお聞かせください。
「新しいスキルというよりは、どの状況で、どのスキルが使えるかということを教えられたと思います。」
――ジュニアバスケットボールサミットについてはどういった感想をお持ちですか。
「子どもたちに貢献できる素晴らしい企画でした。本当にありがとうございました。」
【練習内容】
1)身体刺激&アップ
ポイント とにかく速く(デモンストレーションの女の子がめちゃくちゃ速い)
ジェイソンの「スイッチ」の声で逆の手に入れ替える
①前後のライン飛び越えドリブル
②前後のライン飛び越えドリブル + 前後のアジリティー
③左右のライン飛び越えドリブル
④左右のライン飛び越えドリブル + 左右のアジリティー
⑤ランジの姿勢で縦ドリブル
⑥ランジの姿勢で縦ドリブル + ランジの脚を入れ替えながら
⑦ランジの姿勢で縦ドリブル + ランジの脚を入れ替えながら
↓
連続レッグスルー
↓
ランジの姿勢で縦ドリブル(逆の手) + ランジの脚を入れ替えながら
⑧ランジの姿勢で縦ドリブル + ランジの脚を入れ替えながら
↓
連続バックチェンジ
↓
ランジの姿勢で縦ドリブル(逆の手) + ランジの脚を入れ替えながら
⑨ハーキーをしながらフロントチェンジ
↓
連続レッグスルー
↓
ハーキーをしながらバックチェンジ
2)ウイングからの1on1(フェイスドライブ)
ポイント・利き足がフリーフット(アタックする脚になるように)
・まずはショットをねらう
・空間を把握し、ディフェンスのオフバランスを創り出す
ツーアームの間合い → ショットフェイクで縦のオフバランスを創る
ワンアームの間合い → ジャブステップで横のオフバランスを創る
ハーフアームの間合い → クロスステップでアタック
・ディフェンスに反応されたら、逆をつく
①オープンステップ → クロスステップ
②クロスステップ → オープンステップ
③クロスステップ → ヘッドスピン(フロントターン)
・フェイクは、目・胸・ボールを抜きたい方向へ
・スピードにスピードで勝負しない。チェンジオブペースを使う
ジェイソン氏・西田氏ともに、多くのことを学びました。ジェイソン氏は、アメリカ出身で文化や考え方の違いが非常に面白かったです。 シンプルかつ、クリエティブなバスケットを伝えていきたいです。バスケットを通じて、繋がれたことに感謝です。ありがとうございました!(佐東雅幸)